大判例

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東京地方裁判所 昭和36年(ワ)7168号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔事実と判断〕原告石井正美夫妻の子石井トモ子(昭和二四年二月二二日生)は昭和三三年九月一九日午後三時一〇分ころ東京都品川区大崎本町三丁目六四四番地先道路を子供用自転車を押しながら横断しようとしたところ、訴外太田稔の運転していた被告会社所有の大型三輪貨物自動車に衝突され、自転車と共に路上に転倒し右脛骨々折等全治三カ月半を要する重傷をうけた。トモ子は骨折は治癒したが右足はやや短かくなり、化膿のため右下腿部に著明な瘢痕が残り、将来就職、結婚、社交等において不利益をうけることが予想される。原告石井正美、トシはトモ子の両親としてトモ子の負傷のため莫大な精神上の苦痛をうけたからその慰藉料として各金一〇万円の支払いを求めた。

判決は、原告トモ子が横断歩道のない車道上を反対側歩道上の少女に気をとられ、進行者に注意せず直前横断をこころみた点において重大な過失があつたこと、原告トモ子の負傷が幸いにも全治しわずかな傷あとを残すに過ぎなかつたことなどを認定し、原告正美・トシの慰藉料の請求を棄却したが、つぎのとおり説明している。曰く。(なお判決は原告トモ子には慰藉料として金一〇万円の請求を認容し、原告正美にたいしては治療費等の財産上の損害金三七、六八〇円の請求を認容している)

「原告正美、同トシの慰藉料の主張について判断するに、原告正美、同トシの各供述によれば、父および母としてトモ子の右負傷により受けた精神上の苦痛は決して小さくないことが認められるが、既に認定したトモ子の後遺症の部位、程度、原告トモ子の重大な過失と原告正美の供述により認められる同原告は歯科医で中程度の生活を営んでいることと、前認定の被告会社の経営規模その他本件にあらわれた一切の事情を斟酌して考えるときは右苦痛は特に金銭による賠償をえて慰藉されることを必要とするものとは認められない。」(吉岡進)

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